福岡んのロンドン暮らし

福岡人=Fukuokanな私のロンドン生活。2017年7月から海外育児生活も始まりました。

イギリスと日本のチャリティ番組比較(Red Nose Dayと24時間テレビ)

先日3月24日(金)はRed Nose Dayでした。これは、2年に一度行われるイギリスのチャリティイベントで、私は今回初めてイギリスでこれを体験することができました。3月に入るとこの日に向けてRed Nose (= 赤い鼻)をモチーフにしたバッグやTシャツなどのグッズがあちこちで販売され始め、様々なテレビ番組でも宣伝がされるようになり、ワクワク感が高まっていきます。

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24日当日は、Red Nose (赤い鼻)のカチューシャや、赤い鼻をつけた人も町中にチラホラ・・・。地下鉄の駅などでも募金を集める人が立っていました。

 

このイベントのクライマックスは夜BBCで放送される番組なのですが、日本の24時間テレビと比較するとわかりやすいかと思うので、少しまとめてみました。

 

番組構成の違い

24時間テレビはその名の通り24時間生放送なのに対し、Red Nose Day の番組は夜7時から深夜にかけて生放送。といっても、メインの番組は10時位までで、その後は一時間ずつくらいトークショーだったり、お笑い芸人のショーだったりが続く、というかんじでした。募金総額も10時位に発表されますが、その後の番組内でも引き続き募金を呼びかけていました。

 

「楽しく、普段チャリティに馴染みのない人たちにも参加してもらう」ことがモットーなため、Red Nose Dayの番組はほぼコメディ!今年の目玉は映画 Love Actually の「その後」についてのミニドラマでした。いやぁ、ヒュー・グラント、年取ったな・・・。それでも当時並におしりふりふり踊ってくれたのはさすが(苦笑)

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個人的には、出演者とTwitterユーザーが真剣にどのビスケットが一番美味しいかを決める「ビスケット・ワールドカップ」のコーナーが、イギリスらしくて好きでした。さすが紅茶文化のイギリスですね(笑)

 

もちろん、チャリティ番組なので、コメディの合間には、寄付金が使われる分野の現状紹介がありました。全体的には24時間テレビほど「お涙頂戴」な要素は少ないですが、ところどころ、いいクリップで攻めてきます。今年は特に歌手のエド・シーランが良かったですね。リベリアの子どもたちの様子を見に行った彼ですが、帰り際には「この子達が安全なところで寝るのを見届けないと、帰れない」と、自費でスラムの子どもたちを安全な場所へ移動させたのです。賛否両論あるかもしれないけど、目の前の子供たちを置いてそのまま帰れなかった彼の熱いハートは素晴らしいのではないでしょうか。

 

寄付金

今年の Red Nose Day では7300万英ポンド(約102億円)という大金が集まりました。ちなみに昨年の24時間テレビの募金額は約887万円*1。二年に一度とは言え、金額が大分違いますね。

 

Red Nose Day当日の番組放送中は、電話、SNSメッセージなどで家から募金が行えます。特定の番号に特定のメッセージを送ると(例えば40001という番号に"GIVE MONEY" と送るだけで)、自動的に10ポンド募金がされ、料金は携帯料金支払い時に払う、という仕組みは、イギリスやアメリカの大きなチャリティーではよく取り入れられた方法です。

 

とはいえ、さすがに数時間の番組内でこれだけお金が集まるわけはありません。この日に向けて企業や学校で募金活動をするよう呼びかけが行われているので、そういう団体からの寄付金が大きいのだと推測しています。ウェブサイト内にも会社での寄付金集めの仕方など、一般の人が参加しやすいようマニュアルも用意されています。番組内では大企業からの巨額な寄付金も報告されていました。ブリティッシュ・エアウェイズ(航空会社)が700万ポンド以上、大手スーパーのセインズベリーは1100万ポンドも募金を集めたそうです。皆さんの行動力がすごいですね。

 

寄付金のその後

さて、集まったこの巨大なお金はこのあとどうなるのか、というのが大事なポイント。Red Nose Day の主催者はComic Reliefという非営利団体です。これから二年間をかけて、この団体がイギリスや世界各地のNGOに助成金という形でお金を分配していきます。(例えば、Health Poverty Actionというすでにエチオピアで女性教育の活動をしている団体に助成金を与える、など。)

 

もともとアフリカの飢餓・難民問題に対して「何かしなければ!」と感じたセレブやテレビ業界の人々が、80年台に始めたこのComic Reliefという団体。なので、今でもアフリカへの支援の比率は高く、マラリア対策、教育対策などを近年では行っている様子。しかし、近年ではイギリス国内の問題にも目を向けていて、シニア世代の支援、家庭内暴力、国内の貧富の差の問題などにも助成金を出しています。あくまでComic Reliefは、その強みである「募金を集めること」に特化し、実際の活動はそれぞれのスペシャリストたちに任せる、というイギリスのチャリティ文化らしい仕組みだと思います。国内・国外のそれぞれの非営利団体が育つ、良い仕組みですね。

 

一方24時間テレビの方は、24時間テレビチャリティー委員会というものが設立されていて、そちらでお金を運用しているようですね。支援分野は福祉、環境、災害支援。車椅子を購入したり、植林活動をしたりと、少し何かを購入するという活動が多い気もします。

 

両番組とも、それぞれ賛否両論あるかと思いますが、それぞれ普段チャリティにあまり関わっていない人を巻き込むという点では、良いのではないでしょうか。こういう番組をきっかけに、私たち一人ひとりができることを普段から行わねば、ですね。

ロンドンでの出産準備 妊娠初期検診編

今回は妊娠初期の検診について。イギリスでは通常妊娠初期(〜12週まで)に2回検診が行われます。

 

まずは8週目ごろに助産師さんとの面会。

この検診では、生活習慣(喫煙しているか、飲酒しているかなど)や家族がこれまでかかった病気(高血圧の家族はいるかなど)などについての問診があり、長い長いフォームを助産師さんと一緒に記入していきます。旦那さん側の家族の病気なども把握しておく必要があるので、一人で病院に行く場合は要注意です。我が家の場合、白人の旦那さんの家系には、日本では聞いたこともないような遺伝子の病気もあったりして、なかなか興味深かったです。

あとは血液検査と、尿検査(結果は後ほど)。私のように貧血起こして倒れなければ(苦笑)、一時間弱で面会は終わります。

 

この検診でも「実際に妊娠しているのか」というチェックは特にありません( ー`дー´)キリッ 私は6週間目頃にたまたまエコーしてもらいましたが(詳しくはロンドンでの出産準備 初期出血編)、そうでもなければ、この時点でも、自分が妊娠しているかどうかは、自宅での妊娠検査薬の結果と、最近体調が悪いのはつわりのせいだと信じること以外にないのです!もし早めのエコーをしてもらっていなかったら、絶対私は半信半疑だったと思う・・。

 

 

そしてついに11〜12週目にようやくエコー検診があります。

この検診での目的は以下の二点です。

1. 胎児の大きさを図って、より正確な予定日を把握する

2. 希望者にはダウン症・エドワード症候群・パトー症候群の検査をする

 

2.に関しては、血液検査と、エコー検査、妊婦の年齢を総合的に加味し、それぞれの症候群の「可能性」を出す、というものなので、「絶対にこの子はダウン症ではありません!」と保証するものではありません。これは日本でも一緒ですね。あくまでもこの子がダウン症の確率は10000分の1です、とかそういうレベルの数字が出ます。日本と違うのは、希望者はこの検査は無料でできる点でしょうか。(日本だと血液検査はお金がかかる?)病院に到着して、すぐに検査をするかしないかを問う用紙にサインを求められるので、事前にしっかり家族で話し合っておきましょう。

 

希望者は即、血液検査です。ここでも貧血起こして倒れた私ですが・・。前回の血液検査の結果も聞けばここでちょろっと教えてくれます。私はどうもヘモグロビンの数値が低めだったそうで、体重の落ち具合も "borderline" (ぎりぎり)だと言われました。鉄分取らねば。

 

そしてついにエコー。

前回ただの丸い卵だったのが、人の形になっているじゃないですか!小さな手足もできていて、心拍数も聞けて、感動もひとしお。くるくる羊水の中で動きまわっている、元気な様子が見れて、一気に「お腹の中に赤ちゃんがいる!!!」感が増します。自分のお腹の中で何かがこうやって育っていると考えると、本当に感慨深いです。

 

その後、エコーの感動にひたったまま、30分ほど血液検査の結果を待ちます。わりと結果が出るのは早いんですね。

 

結果を助産師さんと話し合って、この日は終了です。幸いエコーも血液検査も異常なしでした。良かった、良かった。

 

まだまだつわりの続く日々ですが、小さな命が頑張って大きくなっている様子を目の当たりにしたわけですし、頑張る力をもらった気がします。

ロンドンでの出産準備 つわり編

明けましておめでとうございます。今年もブログよろしくお願いします。

 

なんだかクリスマスもお正月も、つわりで毎日うんうん言っている間に終わってしまいました。ロンドンでのクリスマス、今年は我が家で友人も招いてのクリスマスディナーだったのですが、クリスマスイブにケーキを焼き、クリスマス当日にチキンの丸焼きやらお野菜やらいろいろ作ったのですが、自分はほとんど食べられず。

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年越しもカウントダウンに行く予定が、気分が悪すぎて旦那だけ行かせることに。私は猫と家に残って年越し・・。テレビでテムズ川に打ち上げられる花火を見る、と。とほほ。

 

全く吐かないつわりなのが不幸中の幸いなのでしょうか。空腹時に特に気持ちが悪くなる食べつわりのようですが、もっと気持ち悪くならずに食べれるものが随分限られてしまっています。最近は鶏肉が全く食べれなくなりました。(なのにチキンの丸焼き作ったんですよ、はい。)パスタ、サラダもけっこう無理。インドカレーなどの匂いがキツイのも無理。こうやって書いてるだけで気持ち悪くなるので、このへんでやめておきます。

 

逆に何が食べれるのかというと、当初はフルーツ(バナナ、リンゴ、みかん)、ヨーグルト、ビスケットとか、そんなもんでした。お腹は空いてるけど食べれないって、辛いですね。最近はようやくお魚とか、シリアル、シンプルなサンドイッチくらいは食べれるようになってきました。

 

一番意外だったのは、日本食がどうしてもどうしても食べたくなったこと。海外生活通算8年目くらいになりますが、今まで実は白米全然食べなくても、和食全然食べなくても全く平気だったのです。が、最近はどうしても白ご飯とか、お茶漬けとかが食べたくなってしまって、とうとうロンドンの日本食スーパー、Japan Centre 行ってきました。梅干し食べたかったけど、びっくりするお値段だったので断念。代わりにしそ味のふりかけで、とりあえず満足。納豆まで買ってしまいました。最近の貴重なタンパク質源です。

 

先週はなぜか無性に日本のウィンナーが食べたくなって困りました。「シャウエッセン食べたい!!」シャウエッセンなんて日本でも滅多に買ってなかったのに、いったいなんなんでしょう。イギリスのソーセージはもっと肉々しく、ふわっとしていて、シャウエッセンのようなプリッとしたかんじがないんですよね。困ったものです。

 

体重は3kgくらい減ってしまいました。まだまだ通常範囲なんでしょうか?来週の検診まで様子見、というかんじです。

 

今日の英語

morning sickness : つわり

朝だけ来るわけじゃないから、ちょっと誤解を招く名前ですね。

ロンドンでの出産準備 初期出血編

産婦人科の予約が取れないまま、数日がすぎたある日のこと。

つわりでお腹も張って、あまりものが食べられなくなってきていて、調子悪いなぁと思っていた矢先。職場でトイレに行くと、まさかの生理の始まりのような出血・・・。

 

さーっと血の気が引いて、慌ててググる。ほとんどの記事が「まぁ、まず落ち着け」と書いてあるけども、心臓はバクバクしている。

 

とりあえず、気分が悪いから、と早退させてもらって、オフィスを出て、電話ができそうな静かな道を探す。

 

NHS(イギリスの国民保険サービス)では、救急車を呼ぶほどではない事態のときは、111 に電話すれば、医療アドバイスをもらえるサービスがある。これも無料。(ちなみに救急車を呼ぶときは 999。)電話に出たおばさんは、ちょっとぶっきらぼうで、周りもうるさいし、私もまだ半パニック状態だしで、英語で医療の会話をするには正直難しい環境。思わず「妊娠中なのに出血してるんです!!!どうしたらいんですか!!(´;ω;`)ブワッ」と電話で泣き出してしまったが、おばさんが急に電話越しに優しくなったので、会話は進み、「通ってるGP(一般医)か、St Thomas 病院の緊急課に2時間以内に行け」、とのこと。

 

職場から近かったし、どうせ予約取れたらそこに行くんだし、ということで旦那にも連絡してSt Thomas 病院へ向かう。

 

病院で待つこと30分弱・・尿検査、身長・体重・血圧測定ののち、看護婦さんと面談。少量の出血だが、念のため子宮外妊娠ではないかを確認するためエコー検査をすることに。2時間くらい待ちましたが(苦笑)

 

エコー検査の結果、特に異常はなし。3ミリほどの新しい命がピクピク動いているのが実際に見れて、ようやく夫婦ともども「あぁ、本当に妊娠してるんだ」という感覚が生まれたのでした。今回の検査で、正式に妊娠六週間目、という判定になりました。

 

帰り際に、未だに予約の取れていない予約課にも立ち寄ってみることに。しかしここでも「あら、まだ遅れを取り戻せてないのね!!もう!来週には手紙を送るから、もう少し待ってね!!」と、予約は取れず!どひゃー。

 

今日の英語

Ectopic Pregnancy:子宮外妊娠

 

ロンドンでの出産準備 産婦人科探し編

さて前回 GP (一般医)で自力で産婦人科探せよ、と言われたので、ネットでとりあえず検索。

 

NHS(国民保険サービス)のウェブサイトのレビューはスコアはどの病院もボチボチだけど、産婦人科の口コミを読んでいくと、まぁなかには病棟が古いだの、人手が足りてないだの、さすが NHS!的な不満がたらたら。NHS、基本は無料ですからね。政府の予算削減で最近どの病院も大変そうです。

 

そんな中、ほとんどの不満が「最初の予約が取れない」以外はわりと評判の良さそうな St. Thomas 病院というところを見つけたので、とりあえずそこに予約を入れてみることにした。ホームページからフォームをダウンロードして、記入して、メールに添付して終わり、っと。

 

ビッグベンのある国会議事堂のテムズ川対岸にあるこの病院、病室からの景色は抜群なようだが、正直出産中に景色を喜んでいる余裕はないのではないか・・・。まぁでも、出産用のプールとかもあるみたいだし(写真のような余裕はないだろ・・)、サービスはちゃんとしてそうなので、とりあえず待つ。

http://www.guysandstthomas.nhs.uk/images/m/maternity/20150422-poolroom.jpg

 

 

そして一週間後・・・

 

まだ、返事がこない(爆)

 

産婦人科に電話してみるも「ただいま、電話にでることができません。留守番電話に接続します。・・・留守番電話がいっぱいで、録音できません。しばらくしてからおかけなおしください。」Σ(・∀・;)

 

改めてレビューを読み直すと、病院からの返信で「予約課の人員不足により、予約調整が遅れています。どうしても連絡が取れない場合は◯◯◯まで電話してください」と丁寧に書いてあるので、そっちにも電話するも、連日繋がらず。

 

翌日、産婦人科にかけなおすと、留守電の空き容量は作ってくれたようで、一応留守電にメッセージを残してみる。

 

「ほんなって予約取れるっちゃろか??」と不安がよぎる・・・

 

次回へ続く

ロンドンでの出産準備 初検診編

突然私的な日記になってしまって恐縮だが、妊娠していることが発覚した。初めての出産というだけでもドキドキなのに、海外での出産ともなると、いろいろと面白い発見もありそうなので、書き留めておこうと思う。

 

さて、薬局で購入した妊娠検査薬でピンクの2本線をしっかり確認したところで、最寄りの GP に連絡。イギリスでは、とにかく何か体の不調があると、まずは GP と言われる一般開業医に会いにいきます。で、そこから必要であれば専門医を紹介してもらうという流れ。NHS という国民保険サービスに入っていると、診療は無料です。

 

予約をとって数日後、GP診断。念のため女性のお医者さんをお願いしておいた。

女医さん「どうしましたか?」

わたし「妊娠してると思うんです」

女医さん「あら!最後の生理日はいつ?」

わたし「◯月☓日です」

女医さん「妊娠検査薬はやってみた?」

わたし「はい、念のため二回・・」

女医さん「オッケイ!だいたい今妊娠6週間くらいみたいね。妊娠中に控えたほうがいい食べ物は・・・あとは葉酸サプリ飲んでね。で、産科医はうちからは紹介しないから、自分で探してね。まぁこの辺だとA病院、B病院、C病院かしら!」

 

以上!(`・ω・´)キリッ

 

・・へ?!

いや、その、無料ですからね、はい。でもなんの検査もしないで妊婦認定なのか?!というのは衝撃でしたが、さすが NHS というか、なんというか。

 

妊娠検査薬だけだと、まだなんだか半信半疑なんだけどな(´・ω・`)

と不安を抱えつつ、葉酸サプリ買って、家に帰って産婦人科を調べることになるのでした。

 

おまけ:今日の英単語

Folic Acid - 葉酸

 

つづく

ドナルド・トランプの当選を振り返って

2008年、オバマが初当選したときに、私はアメリカにいたのだが、当時の選挙は希望に満ち溢れていた。大学のテレビを囲んで、オバマの就任演説を見ながら涙するアメリカ人を見て、この国はとんでもないパワーを持っていると感じたものだった。それに比べると、今年の選挙のなんとダークなことだろう!今年の選挙では、絶望と恐怖の涙を流した人がどれだけいることか。

 

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選を制覇してから、二週間が経とうとしている。選挙後最初の一週間は、ショックでなにも書きたくないという日が続いた。私のFacebookが、アメリカ人友人たちの悲痛な叫びで埋め尽くされていたことの影響も大きい。

 

ゲイ・レズビアンを公表している友人たちは、ほぼパニック状態で、「先日結婚したばかりなのに、この権利は取り上げられてしまうのではないか」「これからもっと差別をされるのではないか・・・ゲイの印でもつけろと言われるのだろうか」など、心の底から恐怖を感じている様子が痛々しいほど伝わってきた。

 

黒人、インド人、アラブ系、ヒスパニック系の友人たちの中には、すでにトランプ支持者から「国に帰れ、お前みたいなやつはトランプさんが追放してくれるわ」と罵声を浴びせられた人もいたし、「今日は一人で外を走りに行くのはやめておいたほうがいいかしら」「旦那は白人だから、なんだかこの恐怖感を100%わかってもらえない」という不安な声で溢れていた。白人の友人たちのショックも痛々しく、特に小さい子供をもった人たちは「これをどうやって子供に説明すればいいのか」と嘆いていた。

 

先日読んだニュース記事の中で、民主党はマイノリティの権利など、文化的な問題に焦点を当てていたが、国民が求めていたのは経済政策、現状からの脱却であって、その声をかき集めたのがトランプだった、といった趣旨の主張があった。多くのいわゆる「ミドル・クラス」と呼ばれる中産階級の人たちは、本当に不満が溜まっていて、それどころじゃないのだ。自分たちの暮らしが苦しいと、文化的な人権問題よりも、自分のお財布事情の方が切実な問題になってしまうのは、仕方ないだろう。

 

Make America Great Again (アメリカをまた素晴らしい国にしよう!)という曖昧なスローガンは、どのようにも解釈できるから、こういう不満を吸収して、中身が無いままどんどん大きくなってしまった。どのように「Great」な国にするのか、という議論がほとんどなされないまま選挙の結果が出てしまったところは、本当にEU離脱の中身がわからないまま離脱が決まってしまったイギリスの国民投票と重なる。どちらも、これまでの政治組織からの脱却、政治のマンネリ化にうんざりした人々の声だ。(そう考えると、レ・ミゼラブルの民衆の歌が脳内リピートされる・・・)

 

しかし、やはり問いたい。不満なのはわかるが、こんなにモラルのないリーダーで良いのか、と。「品がなくても、経済を良くして、アメリカをGreatにしてくれるなら文句ないわ!」という投票者があまりに多すぎて、その感覚がよくわからずにいる。

 

一国のリーダーとなる人が、

障害者を笑い者にしていいのか?

意見の違う人に耳を傾けず、ひたすら追い出し続けていいのか?

特定の人種を「強姦犯」呼ばわりしたり、「テロリスト」扱いしたりしていいのか?

有名人だからといって、女性を軽視していいのか?

何年も脱税しまくってていいのか?

 

もちろん、もしかしたら(願わくば)、色々口汚いことを言っていたけど、トランプも本領発揮すればすばらしい大統領になるかもしれないじゃないか!しかし、ここ数日のチーム編成や、安倍首相との会談のニュースをみると不安要素だらけだ。だからこそ、泣いてばかりもいられないのだ。バーニー・サンダースを始め、色んな人が声を上げ始めている。選挙は終わりじゃない、新たな戦いの始まりなのだ。そして、私達アメリカ国外の人も、外からプレッシャーをかけていかないといけないのだ。