福岡んのロンドン暮らし

福岡人=Fukuokan の私からみたロンドン生活

イギリス総選挙 予想と各党比較

イギリス総選挙まであと2日となりました!今週木曜日に投票が行われます。先日のロンドンテロで、論点は一気にテロ対策に移りつつある選挙運動です。今日は選挙前に各党についての簡単なまとめと、予想図を書き留めておこうと思います。

 

そもそもなんの選挙?

もともとメイ首相はEU離脱がすむまでやらないと言い張っていた選挙。ところが急に4月に心変わり!「離脱交渉を優位に進めるため、イギリス国民が一致団結するための選挙」という名目でしたが、要は、現在ギリギリ多数を占める保守党議席を、もっと余裕を持って伸ばしたい、というところでしょう。

 

選挙の行方を予想する

結局保守党が勝つだろうとは言われていますが、もともとメイ首相が思っていたほど大差では勝てないのでは、と思います。むしろ大差で勝てないと、言い出しっぺの首相の顔は立たないのですが・・。

ロンドンテロまでは労働党がいいペースで追い上げていたので、接戦が期待されていましたが、労働党のテロ対策は賛否が大きく別れるところなので、今日・明日でペースが落ちてしまいそうな予感。現時点では、連立はしないと労働党党首コービン氏は言っているのですが、ここで大どんでん返しの連立政権が誕生したりしたら、それはそれで面白いことになるのですが!

 

各党の主張は?

イギリスは多党制なので、そうとうの数の政党があるのですが、ここではメジャーなものをいくつかご紹介。

 

保守党

現首相テリーザ・メイ率いる保守党。EU離脱の交渉を乗り切れるのはメイ首相しかいない!と彼女のリーダーシップを全面に押した選挙運動を展開中。ただし、いわゆる「Hard Brexit」という自由貿易協定からも、国境を超えた人々の移動も無くす、厳しいEU離脱の道を突き進むであろうと言われています。(離脱派の多くの人は、実は両方ある程度できる状態のまま離脱をしたかったとも言われている。)

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保守党は一般的に社会的弱者に冷たいとされていますが、マニフェストではNHS(国民保険)への予算再配分を始め、メンタルヘルスや現代の奴隷問題など幅広い問題に言及しており、そのあたりは高評価。まぁ、NHS予算再配分は言及しないほうが政治家の死活問題になるくらい、ヤバイのですが・・。

しかし、先日のQuestion Time という一般人の質問に答えるテレビ番組で、現職の看護婦さんが2009年から上がらないお給料と増え続ける業務量についての質問をすると「魔法のお金の木は残念ながら無いのよ」と言い払ってしまい、やっぱり弱者に冷たい保守党のイメージが払拭できずにいます。(最近は看護婦さんたちがフードバンクに行かないと生活できないほど貧困生活に陥っているとも言われている。)

あいかわらず現実味のない移民政策もよろしくない。「イギリスに来る移民の数を年間数万単位にする」とはメイ首相が内務大臣だったときからの政策ですが、そもそもヨーロッパ以外からの移民の数すら制限できていなかったのに、やる気はあるのかと、みなさん懐疑的です。

 


労働党

意外とやるじゃん、コービン党首!というのがこの選挙での印象かも。この人、若い人には人気があるんです。アメリカのバーニー・サンダースみたいなかんじ。しかし他の労働党議員やメディアからの逆風は大変強く、なかなか党がまとまらないのが弱点。とはいえ、今回の選挙運動で芯のあるリーダーシップを見せはじめたという印象です。各テレビ討論では毎回メイ首相より踏ん張って、いい回答をしています。

http://i2.mirror.co.uk/incoming/article6539227.ece/ALTERNATES/s615b/Jeremy-Corbyn.jpg

「Vote for many, not few」つまりは「(裕福な)少数の人のためではなく、多くの人のために投票しよう」というスローガンを掲げた今回の選挙運動。労働党、特にコービン氏は社会的弱者を守るヒーロー的な政策を打ち立てています。富裕層への増税、大学授業料の無料可などはその一つでしょう。

ただし左派へ行きすぎて、鉄道会社などの国営化もマニフェストに入れてしまっているのはいただけないですね・・・いつの時代の政策じゃ!

また、EU離脱後にこんなイギリスにしたい、というビジョンに特化しすぎて、肝心の離脱交渉の方針がいまいち見えてこないというのも、保守党からよく攻撃されています。また、対話主義で外交を進めるコービン氏のやり方は、コテコテの保守層からは弱っちいと批判されまくりですが、これもまた若いリベラル層からは支持を得ているところなので、一長一短ですね。


自由民主党

EU離脱交渉後に国民投票をする!というのが目玉の政党。この国民投票にはEUに残るという選択肢も含めるという大胆さで、EU残留派の票を勝ち取りたいところ。

IT問題、LGBT問題など、現代的な新しい問題にも果敢に挑戦するところは高評価。労働党はちょっと左派すぎる、もしくはちょっと古くさい、と感じるリベラル派を捉えつつある政党です。

残念なのは、以前保守党と連立政権を組んでいた時の汚点がたまの傷になっているところ。当時、大学授業料値上げや、警察の数を減らす政策などを通してしまったのが、今でも批判の対象となってしまっています。

また、党首のティム・ファロン氏が個人的には敬虔なキリスト教信者で、LGBT問題についての発言が弱いことでも批判を受けています。実際のところ、彼はLGBT政策にはいつも賛成票を入れており、政治的にはちゃんとLGBTグループを支持しているのですが、なかなかその辺りが一般投票者に伝わっていないところです。

 

英国独立党

離脱国民投票で存在感を得た独立党。当時の党首ナイジェル・ファラージ氏もぶっ飛んでましたが、新しいポール・ナタル党首もわりとすごい。。あいかわらずの閉鎖主義で、テレビ討論でも他党からの批判が爆発しました。移民対策も大変差別的。ロンドンテロ後、選挙運動を止めなかった数少ない党の一つで(メジャーな党は、テロ翌日は運動停止だった)、テロを悪用して憎悪を煽っているとまた批判されました。
Hard Brexit を押していた党なので、強固な反移民・反イスラムな支持者以外は、今回は保守党に移るのではないかと言われています。

 

スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの党たち

イギリスの面白いところは、こうしてスコットランド国民党など、イギリス内の「国」を代表する党がしっかりしているところ。日本語でイギリス、イギリスというと忘れがちですが、ここは連合国なのだと改めて感じます。スコットランドはEU離脱後の独立投票を公表に掲げていたり、ウェールズはEUからの資金がないとやっぱり困るので、離脱交渉のなかでウェールズの意見を守ることを約束したり、とイングランドとはまた違う政治・生活事情が見え隠れします。

 

最後に

EU離脱までのこれから2年間は、イギリスの大きな、大きな転換期です!選挙の行方によっては、この国のあり方はより一層変化への舵をきることになります。今週末の結果が実に楽しみです。