福岡んのロンドン暮らし

福岡人=Fukuokanな私のロンドン生活。2017年7月から海外育児生活も始まりました。

ロンドンでの出産準備 初検診編

突然私的な日記になってしまって恐縮だが、妊娠していることが発覚した。初めての出産というだけでもドキドキなのに、海外での出産ともなると、いろいろと面白い発見もありそうなので、書き留めておこうと思う。

 

さて、薬局で購入した妊娠検査薬でピンクの2本線をしっかり確認したところで、最寄りの GP に連絡。イギリスでは、とにかく何か体の不調があると、まずは GP と言われる一般開業医に会いにいきます。で、そこから必要であれば専門医を紹介してもらうという流れ。NHS という国民保険サービスに入っていると、診療は無料です。

 

予約をとって数日後、GP診断。念のため女性のお医者さんをお願いしておいた。

女医さん「どうしましたか?」

わたし「妊娠してると思うんです」

女医さん「あら!最後の生理日はいつ?」

わたし「◯月☓日です」

女医さん「妊娠検査薬はやってみた?」

わたし「はい、念のため二回・・」

女医さん「オッケイ!だいたい今妊娠6週間くらいみたいね。妊娠中に控えたほうがいい食べ物は・・・あとは葉酸サプリ飲んでね。で、産科医はうちからは紹介しないから、自分で探してね。まぁこの辺だとA病院、B病院、C病院かしら!」

 

以上!(`・ω・´)キリッ

 

・・へ?!

いや、その、無料ですからね、はい。でもなんの検査もしないで妊婦認定なのか?!というのは衝撃でしたが、さすが NHS というか、なんというか。

 

妊娠検査薬だけだと、まだなんだか半信半疑なんだけどな(´・ω・`)

と不安を抱えつつ、葉酸サプリ買って、家に帰って産婦人科を調べることになるのでした。

 

おまけ:今日の英単語

Folic Acid - 葉酸

 

つづく

ドナルド・トランプの当選を振り返って

2008年、オバマが初当選したときに、私はアメリカにいたのだが、当時の選挙は希望に満ち溢れていた。大学のテレビを囲んで、オバマの就任演説を見ながら涙するアメリカ人を見て、この国はとんでもないパワーを持っていると感じたものだった。それに比べると、今年の選挙のなんとダークなことだろう!今年の選挙では、絶望と恐怖の涙を流した人がどれだけいることか。

 

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選を制覇してから、二週間が経とうとしている。選挙後最初の一週間は、ショックでなにも書きたくないという日が続いた。私のFacebookが、アメリカ人友人たちの悲痛な叫びで埋め尽くされていたことの影響も大きい。

 

ゲイ・レズビアンを公表している友人たちは、ほぼパニック状態で、「先日結婚したばかりなのに、この権利は取り上げられてしまうのではないか」「これからもっと差別をされるのではないか・・・ゲイの印でもつけろと言われるのだろうか」など、心の底から恐怖を感じている様子が痛々しいほど伝わってきた。

 

黒人、インド人、アラブ系、ヒスパニック系の友人たちの中には、すでにトランプ支持者から「国に帰れ、お前みたいなやつはトランプさんが追放してくれるわ」と罵声を浴びせられた人もいたし、「今日は一人で外を走りに行くのはやめておいたほうがいいかしら」「旦那は白人だから、なんだかこの恐怖感を100%わかってもらえない」という不安な声で溢れていた。白人の友人たちのショックも痛々しく、特に小さい子供をもった人たちは「これをどうやって子供に説明すればいいのか」と嘆いていた。

 

先日読んだニュース記事の中で、民主党はマイノリティの権利など、文化的な問題に焦点を当てていたが、国民が求めていたのは経済政策、現状からの脱却であって、その声をかき集めたのがトランプだった、といった趣旨の主張があった。多くのいわゆる「ミドル・クラス」と呼ばれる中産階級の人たちは、本当に不満が溜まっていて、それどころじゃないのだ。自分たちの暮らしが苦しいと、文化的な人権問題よりも、自分のお財布事情の方が切実な問題になってしまうのは、仕方ないだろう。

 

Make America Great Again (アメリカをまた素晴らしい国にしよう!)という曖昧なスローガンは、どのようにも解釈できるから、こういう不満を吸収して、中身が無いままどんどん大きくなってしまった。どのように「Great」な国にするのか、という議論がほとんどなされないまま選挙の結果が出てしまったところは、本当にEU離脱の中身がわからないまま離脱が決まってしまったイギリスの国民投票と重なる。どちらも、これまでの政治組織からの脱却、政治のマンネリ化にうんざりした人々の声だ。(そう考えると、レ・ミゼラブルの民衆の歌が脳内リピートされる・・・)

 

しかし、やはり問いたい。不満なのはわかるが、こんなにモラルのないリーダーで良いのか、と。「品がなくても、経済を良くして、アメリカをGreatにしてくれるなら文句ないわ!」という投票者があまりに多すぎて、その感覚がよくわからずにいる。

 

一国のリーダーとなる人が、

障害者を笑い者にしていいのか?

意見の違う人に耳を傾けず、ひたすら追い出し続けていいのか?

特定の人種を「強姦犯」呼ばわりしたり、「テロリスト」扱いしたりしていいのか?

有名人だからといって、女性を軽視していいのか?

何年も脱税しまくってていいのか?

 

もちろん、もしかしたら(願わくば)、色々口汚いことを言っていたけど、トランプも本領発揮すればすばらしい大統領になるかもしれないじゃないか!しかし、ここ数日のチーム編成や、安倍首相との会談のニュースをみると不安要素だらけだ。だからこそ、泣いてばかりもいられないのだ。バーニー・サンダースを始め、色んな人が声を上げ始めている。選挙は終わりじゃない、新たな戦いの始まりなのだ。そして、私達アメリカ国外の人も、外からプレッシャーをかけていかないといけないのだ。

スコットランド旅行 オススメの大自然スポット

イギリスまではるばるいらっしゃるみなさん、ぜひ美しいスコットランドも旅行先に検討してみてください。都会の喧騒を離れ、雄大な自然の中でゆっくりと時間の流れるスコットランドは、長期休暇にはかなりおすすめです。

 

携帯の電波が入らないところもまだまだ多く(衝撃!?)、お仕事のスイッチを完全にオフするのにも最適です。また、北海道よりもずっと北に位置するので、夏場でも涼しく、避暑地としても良かったです。

 

私たち夫婦は、9日間、こんなかんじでドライブしてきました。

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 今回はこの中でも特に感動した場所をご紹介します。ざっくりいうと、「西側のコース」がオススメです!

オススメ① スカイ島(Isle of Skye)

今回の旅程でダントツのオススメは、間違いなくスカイ島です。島中が息を呑む美しさ。Quiraing や Storr などの有名所を避けると、ほとんど他の人には会わないので、自然を独り占めできます。例えば、スカイ島の北の果て、Rubha Hunish。

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19世紀初めごろ、牧羊で土地を追われるまで、この辺りには貧しい農民たちが住んでいました。今は農家の跡地がひっそりと海を眺めています。

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こちらは西の果てのNeist Point Lighthouse。ここまでたどり着くのに、狭い狭い一方通行の道が続くのでご注意を。

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ちょっと自然の中を歩きたい人、がっつりハイキングしたい人、誰にでもピッタリのコースがきっと見つかるスカイ島。現地では携帯の電波がつながらない所も多いので、事前にしっかりコースを調べて行きましょう。また、最近ずいぶん人気が出てきたので、夏場は宿が取りにくくなっています。夏に行く人は早めに予約を!現地の方によると、冬場も雪がそんなに積もるわけではないので、夏以外も人が少なくてオススメとのことでした。

 

オススメ② グレンコー (Glen Coe)

スコットランドで最も美しいとも言われている谷間。右も左も雄大な山々が次々と現れてきます。残念ながら地形がら、あまりいいお天気では知られていない場所ですが、しっとりと静かに濡れた山々は、またそれはそれで厳かな美しさを放っています。あまりに感動して、私はほとんど写真を撮るのも忘れて見とれてしまいました。唯一まともに撮ったのは観光案内所での一枚くらいです・・。

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こういう山々が15分くらい、これでもか!と迫ってくる様子をご想像くださいませ。バスツアーも最近はたくさん出ているようで、良い写真スポットにはしっかり大型バスが陣取ってました。

 

オススメ③ 西海岸沿いのドライブ

ざっくりとしたタイトルですが、特にスカイ島の付け根あたり(Kyle of Localsh)からUllapool あたりまで、フィヨルドに沿って運転をすると山あり、海ありの抜群の景色を満喫できます。

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ちょっと風の谷のナウシカみたいじゃないですか?w

 

こういう写真スポットは数百メートル手前から標識が出ているので、停車する用意をしながら進みましょう。大きめの停車場にはピクニックテーブルもあったりします。道中そんなに大きな街はないので、お弁当をもってドライブするとバッチリです。

 

ただし、Applecross あたりは「初心者禁止」の看板があるほど、かなりの急斜面、なおかつ一車線という鬼のような道が続きます。久しぶりに運転する人はやめておいたほうが無難です・・・。

 

オススメ④ ローモンド湖、ベン・ローモンド山(Loch Lomond、Ben Lomond)

グラスゴーから一番近い国立公園内にあるローモンド湖。一時間位で自然の中にどっぷり浸れます。湖の西側のほうがホテルも多めですが、ローカル感満載の東側は、ベン・ローモンド山に登るにも便利で良かったです。

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ベン・ローモンド山はわりと初心者向けだと聞いていたのですが、完全になめてましたね・・・。天気もそれほど良くなかったので、頂上は全く見えず、上の写真の地点以降は雨もしとしと降ってきて、寒いし視界は悪いしで、けっこう怖い思いをしました。自然の力を見せつけられた感じです。

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ローモンド湖の民謡は、どこかで聞いたことがある曲かもしれません。ピーター・ホレンのバージョンをどうぞ。この曲を聞くと、私の心はこの湖地方にすっ飛んでいきます。


Loch Lomond - Peter Hollens

 

今回訪れた場所の中ではこの4つが特に印象に残った大自然スポットでした。

 

もう少し時間があれば、ケアンゴーム国立公園 (Cairngorm National Park) も、もう少し散策してみたかったです。北の方では、スムー洞窟(Smoo Cave)も残念ながら雨で氾濫の恐れがあったので中に入れず、これも残念でした。入り口だけでもこの岩のカラーですよ。中も見たかった!

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一方で、思ったより残念だったのが東側のドライブ全般。フィヨルドの入り組んだ複雑な地形で、絶えず楽しませてくれた西側と比べ、海岸線が単調すぎた感じでした。

また、ネッシーで有名なネス湖も、ローモンド湖に比べ単調な地形で、期待はずれな感じでした。

 

最近はスコットランドのハイランド地方も人気が出てきて、夏場は人も多くなってきた・・とは言え、まだまだひっそりとした場所もたくさんあり、本当に良い休暇が取れました。現実逃避しにまた行きたいですね。

イギリスでパラリンピックのテレビ放送を見て。

今日はパラリンピック最終日。みなさん、見ましたか、パラリンピック?正直なところ、私は今まで一度もパラリンピックをちゃんと見たことがなかったのだけど、あるテレビ番組をきっかけに今年は後半毎日見てしまいました。

 

その番組とは、The Last Leg 。これは通常金曜夜10時に生放送されるバラエティ番組で、オーストラリア人コメディアンのアダム・ヒルが、イギリス人タレントのジョシュ・ウディコム、アレックス・ブルーカーと時事問題について面白おかしくトークを展開する番組。知らなかったのだが、もともとロンドンのパラリンピックのときに始まった番組なのだそう。そこで今回も、パラリンピック中、この番組はブラジルから連日夜8時生放送されることになったのでした。ちなみに、司会のアダム・ヒル自身、生まれつき右足がなく、義足をつけて生活をしているし、アレックス・ブルーカーも手足に障害があり、彼も義足を付けている。

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彼らが番組を丸ごとリオにもっていき、いわゆる健常者のジョシュや他のイギリス人タレントたちを引き連れて、一般人目線からもパラリンピックの様子を伝えたことは、大変意義があると思う。日本では、オリンピック番組をSMAPの中居くんがやったり、バレーボールの番組を嵐がやったりと、一般目線のタレントをスポーツ番組に使うのはわりと一般的だけど、実はこれはイギリスでは珍しい。(オリンピックの方の放送は、専らBBCがスポーツ専用のキャスターを使って放送していたし。)

 

また、24時間テレビなど、どうしても障害者がテレビに出ると、お涙頂戴的な方向に番組を持っていきがちだが、障害者のテレビでの扱い方はどこの国でも頭を抱えるところのよう。ましてや、お笑い番組は難易度がかなり高い。この点、アダムとアレックスは自身も障害を持っていることから、バランス良く障害も笑いに変えていったし、ジョシュや他の健常者ゲストもそれに絡んで笑いを作っていくという雰囲気ができていて、非常にレベルの高いお笑いだったなと思う。また、パラリンピック選手も毎日ゲストで登場したのだが、彼らの障害にスポットライトを当てるのではなく、彼らのキャラや、試合での功績を中心に繰り広げられたトークも、この番組のうまいところだったと思う。

 

もちろん、パラリンピックが終わりに近づくにつれ、感動的な要素も多々盛り込まれていた。昨日はニュージーランドのリアム・マローン選手(男子 400m - T43/44(切断・機能)金メダリスト)が、同じく片足のない8歳の男の子に将来パラリンピックに出たらこうしろ、みたいなアドバイスをしていた。男の子は自分のヒーローに会えて、目がキラキラしていて、テレビの前でそれを見て、私はうるうるしてしまいましたよ。この子、絶対この日を忘れないだろうな。(YouTube 日本からは見れないかも ↓)

 

きっと私だけじゃなく、たくさんの人がゴールデンタイムでこの番組のおかげで、障害への考え方、見方が変わったのではないかと思う。この番組を放送している Channel 4 は、以前にも LGBT の子供を育てる親のドキュメンタリーや、イギリスにいるイスラム教徒のドキュメンタリーもしていて、マイノリティへの視線が熱い。今後もこういうのどんどんやってほしいし、日本でもこういう良質なバラエティが増えると良いなと思うのでした。

最後に、Channel 4 の熱いパラリンピックのコマーシャルを。

Brexit (英国 EU 離脱)による影響

英国の EU 離脱が決まってから 10 日ほど経った。こちらでの日々の生活に何かしら支障はあるか、と聞かれたのだが、特に変わりなく生活している。もちろん、日々あの政治家が辞めただの、次の総理は誰だだの、Brexit 絡みの話題は事欠かないし、EU 離脱へ向けてのハッキリとしたアクション・プランがまだ無いので、モヤモヤした感じは多々ある。身近な影響を少しまとめてみたい。

 

人種差別

残念なことに、投票を期に勢いを得た極右派の一部が、東欧系の移民や、イスラム教徒の女性に罵声を浴びせるという事例が EU 離脱決定後、各地で報告された。残留派の多かったロンドンでも、ポーランド人向けコミュニティ・センターに大きな落書きがされたり、地下鉄で罵られるがいたり、と決して人事ではなかった。また、代々イギリスに住んでいるインド系、アフリカ系の人々も「自分の国に帰れ」と野次られており、一体どこに行けというのよ、との声が上がっている。ヨーロッパからの移民に限らず、とにかくいろんな人種への風当たりが強くなっているように感じる。幸い、私個人的にそのようなことはまだ起こっていないが、身の回りにより一層気を配るようにしている。
 

採用状況

大手企業の中にはイギリス支部の採用を一部停止しているところもある、と聞く。今までヨーロッパ本社をイギリスに置いていた企業は、今後パリやベルリンに本社を移す可能性もあるのだろう。
 
現在イギリスにいるヨーロッパからの移民のステータスも、実は定まっていない。国民投票直後、キャメロン首相は「現在イギリスに住んでいる移民に影響はない」と声明をだしだ。しかし、次首相候補のテレサ・メイは先日テレビ番組で「交渉次第」だとし、批判を浴びている。
 
今後もユーロの取引をロンドンからできるのか、税金の影響はどうなるのか、ヨーロッパからの従業員は残れるのか、新規に採用できるのか、などがハッキリしてこないと、なかなか今後イギリスの大手の採用は伸びないだろう。
 

住宅事情

実はこれから家を買おうとしていたので、ここが一番痛いところだ。市場への影響はまだ未知数だとする見解が一般的だが、まだまだ物件の値段は相変わらず高いままだという人もいれば、いやいやこれから値段は下がるという人もおり、しばらくは混沌とした状況が続きそうだ。
 
貸入れの利子はなんだかんだ言って高くなるだろうし、
英ポンドが安くなれば海外からの投資もひょっとしたら増えてしまうかもしれないし、
移民が本当に減れば物件の値段は下がるかもしれないし、、、
 
とにかく不安要素が多すぎる。
 
 
これからまだしばらくは Brexit の話題から目が離せないようだ。

憎悪を煽る政治はやめよう

EU国民投票はついに明日に迫った。

 
日本でも報道されていたようだが、先週のコックス国会議員が極右思想者に殺害された事件で、一気にこの国民投票への空気が変わったように感じる。
ここ最近の有権者の関心が経済から移民問題に移っていた矢先にこの事件だ。移民問題に真摯に取り組んでいたコックス議員が、まさに反移民主義の男性に「イギリスを優先しろ」と叫ばれながら殺害されたという報道に英国中が衝撃を受けた。
 
「移民が増えると、ドイツのケルンみたいに女性がレイプされる」
「トルコ経由で中東のテロリストたちがイギリスにどんどん来る。イギリスが危ない」
 
対岸のアメリカでイスラム教徒を追放しようだの、メキシコ国境に壁を作ろう、などと訴えている誰かと似た、人種差別や憎悪を煽るような言葉が、ここイギリスでも連日繰り広げられていた。離脱を声高に政策として掲げる英国独立党 (UKIP) は、大きな宣伝用トラックに中東系移民の大行列の写真を載せて「EUに残るとこいつらが来るぞ」と言わんばかりの宣伝を始めたりもしていた。
 
英国民と移民
離脱派と残留派
 
移民はテロリストで、国民から職も家も奪っていく、、
離脱派は非人道的で、差別的だ、、
 
そんな社会を二分化するような流れがどんどんヒートアップしていたところで、コックス議員の事件がおきた。彼女が殺害された木曜から土曜まで、すべての投票運動が停止されたことで、必然的に誰もが自分の信じる派閥や、自身の主張を冷静に考え直す機会を得たのではないだろうか。
 
自分や、自分の応援している派閥は、建設的な議論を展開していただろうか。
自分も移民や、自分と違う人種、階級の人に対して、差別的な発言をしていなかっただろうか。
 
移民は税金も納めてくれるし、経済的利益も生む
離脱派はみんながみんな移民問題で投票しているわけではないし、欧州連合の政治的理念に納得できない人もいる
 
また、議論の最中に、相手派閥の議員の、プライベートに関してあれこれ口出ししていないだろうか。個人に対する口撃はよくない。
 
汚い投票運動ではいけないと、尊い命が奪われないと気づけないのはなんとも情けないではないか。
 
私も特定の離脱派議員に嫌悪感を抱いていたところだが、彼の意見に集中すべきで、個人的に彼を嫌ってはいけない、と改めて考えさせられた。建設的に意見を交わすということの大切さを痛感する。
 
投票運動が再開された日曜日のテレビ番組では、離脱派と残留派がお互いに「そういうふうな言い方はいけない」と、憎悪を煽るような発言を牽制しあう場面があった。国民投票が終わっても、議員、国民が健全な議論を続けられるよう期待したい。

スウェーデンの夏至のお祭り

昨年の今頃、ロンドンに引っ越して早々、ご縁があってスウェーデンの友人宅で、ミッドサマーのお祭りにお邪魔させてもらった。

 
ミッドサマーは6月末の夏至の頃に行われるお祝いごと。家族で集まって食事をし、太陽の恵みに感謝する。また、子孫繁栄を願う祭りでもある。長い長い冬が続く北欧の国々では、太陽の光あふれる夏は大変大事にされている。
 
私が訪れたのは Nyköping (ニーショピング)という小さな街。

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日が沈まない真夏の北欧のイメージがあるかもしれないが、それはもっと北極圏に近いところの話。これくらいの緯度になると、さすがに深夜すぎには薄暗くなった。ただ、深夜2時をまわっても、真っ暗になることはなく、3時過ぎるともうじわじわと明るくなり始めた感じだった。
 
お祭り当日は、女性は手作りの花冠を飾るのが伝統だそう。自然豊かなスウェーデン。朝からバスケット片手に、道路脇や公園で自由に草花を摘んでいく。道端に咲いた小さな花々も、こうして近くで見るとかわいいじゃないの。夏の訪れをそれぞれの花から感じとることができる。こうして、バスケットいっぱいに摘んだ草花と、前日にスーパーで買っておいた、やや大きめの花々とを編みあわせて、花冠を作っていく。
 

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これをつけて、友人家族の待つ家へ移動。家族でご馳走を囲んだランチでお祝いは始まる。スモークサーモンを使った前菜から、大量のミートボール、ニシンの酢漬け、新鮮なイチゴたっぷりのケーキなどが一般的なようだ。ミートボールのふわふわ具合は、さすが本場だ。そして、スナップスという、わりと強いアルコールのショット。飲む前にテーブルのみんなでわらべ歌を歌うのがマナー。誰かが飲むたびに歌わないといけないので、かなりの頻度で食事は中断されることになる(笑)
 
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ランチの後は、街の広場での伝統的な行事に参加させてもらった。このお祭りでは、Maypole と呼ばれる木の柱を広場に立て、その周りで踊ったり歌ったりする。
 

 
小雨の降る中、びしょ濡れになりながら子供と一緒にゲームに参加しているパパたちの多いこと!さすが男女平等社会の北欧社会だわ、と一人感心してみてしまった。
 
パパたちの活躍は夕飯にも続く。まだまだ日が暮れる気配もない夕方、外でバーベキューの準備が始まるのだ。
 
こうして夜遅くまで飲んで、食べて、歌って踊って、、たくさん語り合って、ようやく薄暗くなりかけた深夜近くにお開きとなるのだった。
 

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