福岡んのロンドン暮らし

福岡人=Fukuokanな私のロンドン生活。2017年7月から海外育児生活も始まりました。

イギリスで私が産後うつから回復した経緯

以前の投稿でお話したように、産後の私のメンタルはガタガタだった(詳しくは以前の投稿を)。おかげで入院までした私だったが、現在順調に楽しく育児ができるようになっている。

 

私の場合、まずは助産師やホームドクターのすすめで、泣く泣く大きな病院のA&Eといわれる、緊急対応してくれるところに行くことになった。(各システムの詳細も以前の投稿を参照してほしい。)

が、「緊急」のくせに、なんとここでまさかの5時間も待たされたのだ。夫に娘を預けて、一人で病院に行っていたのだが、こんなに長時間娘と離れ離れになったのは、産後初めてだった。そして、この時初めて「娘に会いたい!!」と心から思うことができた。これまでは赤ちゃんなんて、誰かに預けてしまいたいとすら思っていたのに、「帰ったら、まず一番に娘を抱っこしたい」なんて思っている自分に、待合室で自分でもびっくりしたものだ。離れてみて、ようやく大切さがわかるとは、まさにこのことだ。

 

翌日、Mother and Baby Unitという、別の施設に一晩入院することになった(施設の詳細は前回の投稿で紹介している)のだが、ここでも大きな気持ちの変化があった。

マザー&ベビーなんていうと聞こえはいいが、要は精神病院である、ということに、施設に着いてから気がついた。行くまでは、お泊り保育園に行くような感覚だったのだ。精神病院に入院するとなると、やはり抵抗感がある。自分はこんなところにいなくてもいいはずなのに、と思ってしまった。

そして、この施設には夫は泊まれない。家族がバラバラになってしまうのが、なんとも悔しかった。せっかく育休も取ってくれてるのに、何やってんだ、自分。彼が赤ちゃんと過ごそうと思っていた時間を、これ以上取り上げてはいけない。病院を出るしょんぼりした夫の背中を見送りながら、絶対明日、脱走してでも退院してやる、と決意したのだった。

施設に滞在中、生後10日ほどだった我が子も、どこか落ち着かない様子だった。慣れない環境で寝付きも悪いし、よくグズった。そんな中、スタッフがあやしても泣き止まないところ、私が抱き上げるとすっと落ち着く娘の様子を見て、ようやく母としての自信が少し出てきたのだった。しっかり私を見つめる彼女の瞳が、なにかを訴えているようで、母としてしっかりしなきゃ、という自覚も出てきた。この子は家で安心して育てなきゃ。ここから出たがっているのは私だけではない。

 

そんな気持ちで、一晩施設に泊まったわけだが、スタッフが面倒を見てくれている間、産後初めて割とまとまった睡眠を確保することができた。1〜2時間の睡眠を何度もとっても、当たり前だけどやっぱり疲れは取れていなかった。4時間くらい寝れると、わりと頭もしっかりしてくるのだ。睡眠が精神状態に与える影響を、身をもって体験した形となった。

 

翌朝、ここ数日での私の気持ちの変化を、夫、精神科医、カウンセラー、保育士などに話した。夫も私の変化を見て取れたようだ。家族3人で一緒にいることが、何よりも自分の精神の安定につながることも強調したため、この日に自宅に帰宅することになり、しばらくは数日おきにスタッフが自宅を訪問して様子を見てくれるようになった。

 

私の場合は、特にカウンセリングを受けるでもなく、薬をもらうでもなく、いろいろな出来事が相重なって、なんだかショック療法のような形で回復した結果となった。子供と離れる時間を持つこと、普段と違う環境に強制的に置かれたこと、その環境を娘と二人で乗り越えなければならなかったこと、そして睡眠を確保できたこと・・・これらがすべて回復するきっかけになったと思う。

 

もしも産後、気持ちが不安定になっていたら、恐れずに助けを求めてほしい。これはイギリスだけに限らない。日常のリズムから抜け出すだけでも、気分が変わるかもしれない。寝る時間を1時間増やすだけでも、何かが変わるかもしれない。産後うつなんて、10人に1人はなるものだと言われている。もっと多くの人が声を上げれば、実際はもっとたくさんのママが似た気持ちを抱えているのかもしれない。だから、自分だけおかしいんじゃないかなんて思わないで。周りの人に正直に自分の気持ちを話してみることから始めてほしい。