福岡んのロンドン暮らし

福岡人=Fukuokanな私のロンドン生活。2017年7月から海外育児生活も始まりました。

イギリス総選挙前に区の集会に行ってみた

6月8日はイギリス議会選挙が行われます。あんだけ「Brexit(EU離脱)が終わるまで選挙はやらない」と言い張っていたメイ首相でしたが、4月に態度を一転。EU離脱の交渉を優位に進めるため、今一度選挙を!という名目ですが、つまりは今ぎりぎり過半数を占める保守党議員を、交渉前にもう少し増やしたい、というところでしょう。

 

選挙まであと2週間をきり、先日はうちの区でもHustingと呼ばれる集会に行ってみました。Hustingとはイギリス英語で、政治活動の場を広く指すようですが、主に選挙前のパネルディスカッションや、集会を指すようです。

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今回参加したのは写真左から

  • 自由民主党 ジョージ・ターナー
  • 女性平等党 ハリニ・イェンガー
  • 司会進行の公共政策研究機構ディレクター、トム・キバシ
  • 労働党 ケイト・ヒューイー(現職)
  • 緑の党 ガルナー・ハスナイン
  • 海賊党 マーク・チャップマン

保守党候補は現れず、大ブーイングでしたが・・。この区は現職ヒューイー氏 vs 自由民主党のターナー氏という構図ができていて、この二週間でどれくらいターナー氏が追い上げられるかが勝負の鍵をにぎると言われています。

会場は平日夜にも関わらず、軽く100人を超える地元民でいっぱいで、若い人からお年寄りまで幅広い年代の人が集まりました。(人種的にはほぼ全員白人でしたが。)事前に観客から集めた質問をベースに、集会は進められました。いやぁ、地元の皆さん、熱かった。白熱した議論トピックと内容はこんな感じ。

Brexit・EU離脱について

この選挙区では過半数以上がEU残留を希望していたのにもかかわらず、現職ヒューイー氏は昨年EU離脱派として運動・投票を行いました。そういう経緯もあって、他政党は「ヒューイー氏は選挙区民の民意を反映しない政治家」というネガキャンを展開中です。会場からはオランダ系移民の看護師さんが「EUからすでにイギリスに移住している私達の権利はどうするのか。これから私と、私のドイツ人の妻の生活はどうしてくれるんだ」と熱くヒューイー氏に挑戦しましたが、氏は典型的な政治家らしく、直接の回答はしませんでした。

 

民主主義について

保守党は公約で、選挙に参加するのに写真つきIDが必要になるようにする、としていますが、それについての意見を求められた候補者たち。「特に意見はない、あまりこの区に影響はない」とするヒューイー氏に対し、すかさずターナー氏が「写真付きIDというのは、貧困層では持っていない人も多い。選挙に参加しにくくする悪しき政策だ」と果敢に挑戦しました。

 

キツネ狩りについて

「この時代にキツネ狩りがなぜ選挙で話題になるのか、全くもって理解ができない」という緑の党に私も賛成なのですが、キツネ狩りの復活も保守党の公約の一つ。区民はキツネ狩り反対が多い中、ここでもヒューイー氏は反対票を投じる約束はせず。「区民の意見を聞いて投票する」とした海賊等にここは一本取られたかんじ。

 

経済について

国債の増加についての意見交換がなされました。ここでもユニークな意見は海賊党のベーシック・インカム政策でしたが、これについてはまた別の機会にブログで。

 

公共サービスについて

学校の芸術科目の予算が減っていること、保育園問題、公共交通機関や空気汚染の問題、家賃相場高騰問題などなど、区民の日々の生活に関わる問題が議論されました。この辺はさすが現職、ヒューイー氏が現実的な政策を提案していた印象です。ただ、この辺で時間切れとなり、まだまだ質問し足りない観客が「うちのこの問題はどうなんだ」「これはどうなんだ」とワーワー騒ぎ出し、一時騒然となりました。みなさん、いろいろと不満は溜まっている様子。

 

イギリス国民はEU離脱のときもそうでしたが、本当によく政治に参加する国民だなと感じさせられます。収集がつかなくなるくらい、皆さん言いたいことがあるんです!いいことではないですか。意見の違いは色々ありますが、これからの国の行方、日々の生活に関わる政策に政治家にきちんと意見を述べられること、国民同士でも建設的な議論ができることは、民主主義の基本の基でもあります。 これから選挙までますます選挙運動は白熱しそうですが、行方を見守っていきたいと思います。